ドイツテレコムがTモバイルUSを子会社化

電気通信大手ドイツテレコムのティモトイス・ヘットゲス社長は20日の投資家説明会で、米移動通信サービス会社TモバイルUSへの出資比率を引き上げ子会社化する考えを明らかにした。前日のメディア報道を追認した格好。TモバイルUSは収益力が高いことから、出資比率を高めることで配当収入を拡大し、欧州事業の投資資金に充てる。

ドイツテレコムは2018年4月、ソフトバンクグループとの間でそれぞれの米子会社TモバイルUSとスプリントを合併することで合意。20年4月にTモバイルUSを存続会社として合併を実現した。ドイツテレコムの出資比率は現在およそ43%だが、ソフトバンクGが合併に際し議決権をドイツテレコムに付与したことから、ドイツテレコムは過半数議決権を行使できる。

ドイツテレコムは20年6月、TモバイルUSの株式およそ8%をソフトバンクGから譲り受けるオプション権を獲得した。この権利は少なくとも24年6月まで有効であるため、それまでにオプション権を行使すれば、TモバイルUSへの出資比率を51%に引き上げ子会社化できる。

同オプション権をいつ行使するかは明らかにしていない。ソフトバンクGとの合意では8%のうち一部を1株当たり103ドル、残りを権利行使直前の20営業日の加重平均株価で取得することになっている。現在の株価は約135ドルに上る。

ドイツテレコムは筆頭株主であるドイツ政府の要求を受け、光ファイバー通信網の拡充に取り組んでいる。同社はその資金をTモバイルUSから得ており、ヘットゲス社長は日曜版『ヴェルト』紙のインタビューで、「米国での価値創出がなければ、現在欧州で進めている、光ファイバー通信網を住宅まで拡張するための投資資金を手当てできないだろう」と明言した。

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