ベルリン州が不動産大手から住宅購入、家賃高騰対策で

独ベルリン州政府は17日、合併を計画している不動産大手のヴォノヴィアとドイチェ・ヴォーネンから州内の賃貸住宅1万4,750世帯分を取得することで合意したと発表した。手ごろな価格の賃貸住宅が不足している現状を改善する狙い。州有不動産会社3社を通して総額24億6,000万ユーロで購入する。

ドイツでは住宅不足を背景に大都市を中心に不動産価格と家賃が近年、急速に上昇している。このため低所得者のなかには長年住んでいた賃貸住宅の家賃を払えなくなる人が出ている。また、郊外に転出したり、収入の30%以上を家賃に充てる世帯が多い。

社会民主党(SPD)と緑の党、左翼党からなるベルリン州の左派政権はこうした現状を問題視し、家賃に上限を設ける州法を2019年に成立させ施行した。同法に対しては連邦憲法裁判所(BVerfG)が4月に違憲判決を下したものの、不動産会社への圧力は弱まっていない。

ヴォノヴィアとドイチェ・ヴォーネンはこれを受け5月、「未来・社会協定」という提案をベルリン州に提示。州内の賃貸住宅の一部を州に売却するほか、26年までは家賃の値上げに自主的に上限を設ける意向を表明した。家賃の上げ幅は24年までが年1%以下、25年と26年もインフレ率未満としている。

州に譲渡する賃貸住宅は当初、2万世帯分弱としていたが、今回の合意では約1万5,000世帯分へと減少した。約5,000世帯分は低所得者を対象とする公営住宅に適さないことから除外された。

州有不動産3社は購入資金を外部資本で賄う。返済には家賃収入を充てるため、州の財政にしわ寄せは出ない見通し。

州政府は公営住宅を25年までに40万世帯分に増やすことを目指している。これは州内の住宅の約20%に相当する規模。現政権下ではこれまでに計4万1,150世帯分を購入した。

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