英大型エンジン・発電機大手ロールスロイスの独子会社ロールスロイス・パワー・システムズ(RRPS)は8日、燃料電池ベースの緊急発電機を開発・製造すると発表した。経済の脱炭素化を背景に二酸化炭素(CO2)を排出しない緊急発電機のニーズが見込まれることから、競合に先駆けて製品化する意向だ。
デモ設備の運転をすでに今年、開始した。2023年にはパイロット設備を設置。25年から量産を開始する。燃料電池は商用車大手ダイムラー・トラックとボルボが今春設立した合弁会社セルセントリックから調達する。
大量の電力を消費するデータセンターは停電による稼働停止を回避するため、緊急発電機を備えている。電源構成に占める再生可能エネルギーの割合が高まると、送電網は不安定化し、停電が起こりやすくなることから、緊急発電機の重要性は一段と高まる見通しだ。ただ、ディーゼルエンジンを用いる従来型の製品はCO2を大量に排出することから、燃料電池を用いた炭素中立の製品が実用化されれば、需要は拡大すると見込まれている。
RRPSはデータセンター用緊急発電機の分野で米キャタピラー、カミンズとともに世界3大メーカーの一角を形成している。