ドイツのアンゲラ・メルケル首相とオーラフ・ショルツ次期首相、および国内16州の首相は11月30日のテレビ会議で、新型コロナウイルスの感染防止策を強化することで合意した。感染者が急増し、集中治療体制崩壊の可能性を排除できなくなってきたことに対応。全面的なワクチン接種義務を導入するほか、「2Gルール」を小売店にも拡大する意向だ。詳細は2日に開く会議で決定する。
ワクチン接種を完了した人の割合(人口比)は1日現在68.6%。少なくとも1回の接種を受けた人が71.4%上るうえ、急速な感染拡大を背景に新規接種者が再び増えていることから接種完了率が70%を超えるのは確実とみられる。
だが、接種を頑なに拒否する市民が少なくないことから、市民の自由意思に任せたままだと感染力が高いデルタ株への集団免疫を獲得するのに必要な水準は実現できない見通しだ。集中治療を受ける新型コロナ感染者に占める非接種者の割合が9割と極めて高く、集中治療体制を圧迫していることから、国と州はワクチン接種を義務化することにした。遅くとも3月初旬までに実現する。違反者への制裁など詳細は決まっていない。
2Gは「Geimpfte(ワクチン接種完了者)」「Genesene(コロナ感染からの快復者)」の略。同ルールの適用対象となった施設・場所に入るためには接種完了、感染からの快復のいずれかを証明することが義務付けられる。小売店はこれまで適用対象外だったが、国と州は方針を転換し、スーパーマーケットや薬局など生活必需品を取り扱う店舗を除き非接種者(感染からの快復者は含まない)の入店を禁止する。非接種者はこのほか、接触可能な人の範囲も大幅に制限される。