独政府与党は24日、エネルギー価格高騰の直撃を受ける市民の負担軽減策で合意した。政府はすでに今月中旬に閣議決定した補正予算案に税負担の軽減策を盛り込んでおり、今回の合意は負担軽減策の第2弾となる。コロナ禍からの経済回復に伴うインフレがロシアのウクライナ侵攻で加速していることに速やかに対応し、購買力の低下を相殺。社会不安の発生を予防する考えだ。
政府は補正予算案に被用者必要経費控除と所得税基礎控除、長距離通勤税控除の引き上げを盛り込んだ。議会で可決されると、1月1日にさかのぼって施行される。
今回の合意ではより広範囲の対策が取り決められた。就労者にはエネルギー一時金300ユーロを支給する。被用者は給与とともに受給。自営業者は所得税の予定納税(税金の前払い)減額を通して受け取ることになる。同一時金には所得税が課されることから、手取り額は所得が多いほど少なくなる。
車両の燃料税も3カ月の期間限定で欧州連合(EU)の最低水準に引き下げる。クリスティアン・リントナー財務相によると、引き下げ幅はガソリンで1リットル当たり30セント、軽油で同14セントとなる。
子持ち世帯には子供1人につき100ユーロの一時金を支給する。同手当は子供税控除に算入されることから、高額所得者はメリットを享受できないという。
生活保護など社会保障給付の受給世帯には1人当たり100ユーロの一時金を支給する。
与党はさらに、近距離公共交通機関の1カ月定期券を3カ月間に限り9ユーロとすることでも合意した。これに必要な経費を国が負担する。
リントナー財務相は今回の合意に伴う国の負担額が、負担軽減策の第1弾と同程度になるとの見通しを示した。第1弾のコストは150億ユーロ強と見積もられている。