エネルギー大手のRWEと天然ガスパイプライン運営のOEGは24日、水素インフラをドイツに構築するための構想「H2ercules」を発表した。水素経済を低コストで迅速に実現することが構想の狙い。水素バリューチェーンに関わる他の企業にも参加を呼びかけている。実現には政策的な枠組みが必要なことから、両社は近く政府などとの協議を開始する意向だ。
ドイツ北部に設置されるグリーン水素の生産・貯蔵・輸入施設とルール工業地帯など西部や南部の顧客企業をパイプラインで結びつける。RWEのマルクス・クレッバー社長は「ドイツ初の水素高速道路を作る」と意欲を示した。
RWEは最大1ギガワットの電解槽を建設するとともに、大量の水素を輸入。OEGは総延長1,500キロメートの水素パイプライン網を提供する。既存の天然ガスパイプラインを転用することから、新設するパイプラインは500キロメートル程度にとどまる。
投資規模は両社合わせて35億ユーロを見込む。既存パイプラインを活用することから投資額は大幅に抑制できる。
すでにティッセンクルップなどの大手企業が水素の購入に関心を示している。同社はコークスの代わりにグリーン水素を高炉の還元剤に投入する水素還元製鉄を2025年からデュースブルク工場で開始する計画だ。
天然ガスパイプライン運営事業者の業界団体FNBガスによると、ドイツの水素パイプラインは30年までに計5,100キロメートルに達する見通し。RWEとOEGは他の水素プロジェクトと連携し、H2erculesのパイプラインを全国水素パイプライン網計画「NEP Gas」に組み込む意向だ。