天然ガス不足の警戒レベル、7月8日に引き上げか

天然ガスの国内供給不足に対応するための警戒レベルを、ドイツ政府が引き上げるもようだ。ロシアがガス管「ノルドストリーム1」を通した西欧向けの供給を大幅に減らしたことに対処する考え。ロベルト・ハーベック経済・気候相は22日に開かれた連邦議会(下院)のエネルギー・気候委員会で、警戒レベルを現在の「早期警戒」から「警戒」に引き上げる意向を表明したという。同委員会の出席者から得た情報として『フランクフルター・アルゲマイネ』紙が報じた。

ドイツには欧州連合(EU)の「天然ガスの安定供給確保に関する規則」に基づく天然ガス供給の警戒システムがある。同システムは3段階からなり、第1段階の早期警戒はロシアが「非友好国」の企業に天然ガスのルーブル決済を義務付ける方針を打ち出したことを受け、3月末に発令された。政府はこれを第2段階の警戒に引き上げる方向で準備を進めている。

早期警戒は、ガス供給が大幅に悪化する可能性が高い場合に発令される。また、警戒は供給状況が大幅に悪化した場合に発令される。ただ、この段階では市場メカニズムを通して問題に対処することから、国家は介入しない。

警戒が発令されると、ガス会社は調達価格の高騰分を都市エネルギー公社や大手メーカーなどの顧客に転嫁できるようになる。このため、国内のガス価格は一段と高くなる見通しだ。

警戒では対処しきれない場合は最高レベルの「緊急」段階へと引き上げられ、国がガス市場に介入。所轄官庁の連邦ネットワーク庁が配給を実施し、産業向けの供給量が制限されることになる。

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