コロナ規制再強化案、与党が一部修正

ドイツ政府は24日、感染防止法改正案の起草支援を決議した。秋の到来で気温が下がり新型コロナウイルス感染者数が大幅に増えると、医療ひっ迫のリスクが高まることから、そうした事態を回避できるようにする狙い。今月上旬の与党合意に州サイドから批判が出たことから、同合意に一部修正を加えた。与党は起草支援をもとに法案を作成し、議会に提出する。

ドイツでは春以降、コロナ規制が大幅に緩和されている。感染力の高いオミクロン株が主流となったことから、感染者数は高水準にあるものの、重症化して病院で治療を受ける人は比較的少なく、病床が不足する事態は起きていない。

秋になると入院する感染者が増えると見込まれることから、政府は10月1日から規制を再び強化する。期間は来年4月7日まで。

新規制は国内で一律に適用される全国レベルのものと、州が独自の判断で導入するのものの2種類で構成される。全国レベルの規制は◇旅客機、長距離鉄道・バスなどでのマスク着用◇病院や介護施設でのマスク着用と陰性証明――を義務付けるというもの。マスクは原則的に感染防止力の高いFFP2マスクでなければならないものの、6~14歳が旅客機、長距離鉄道・バスを利用する場合は医療用マスク(OPマスク)も認められる。6歳未満はマスク着用を義務付けられない。また、病院で治療を受ける場合は陰性証明を取得する必要がない。

各州はこれ以外の分野でコロナ規制を導入できる。具体的には(1)近距離公共交通機関でのマスク着用義務(2)不特定多数の人が出入りする屋内(小売店など)でのマスク着用義務(3)飲食店、文化・余暇・スポーツ施設でのマスク着用義務(4)5年生以上のクラスでのマスク着用義務(5)学校や保育施設で感染の有無を調べる検査――を導入できる。

(3)のマスク着用義務は陰性証明、3カ月以内にワクチンの接種を受けた接種完了者であることの証明、感染から90日以内に快復したことの証明のいずれかを提示すれば免除することができる。与党合意では3カ月以内の接種完了者と90日以内の快復者について陰性証明義務が一律、免除されていたが、3カ月ごとのワクチン接種を実質的に強要する不当なルールだとの批判が州から出たことから、起草支援では免除するかどうかの決定を州が下せるよう改められた。

感染状況が悪化し、医療その他の重要インフラの機能が適切に機能しなくなる恐れがある場合、州はコロナ規制を強化できる。具体的には◇マスク着用義務の免除規定停止◇社会的距離規制の導入◇消毒液の設置や換気、不要な接触の回避、入店・入場制限など衛生措置の策定・実施を小売店やサービス事業者に義務付ける――ことが可能になる。

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