高級乗用車大手の独メルセデスベンツは12日、生産の効率化、レジリエンス強化に向け米IT大手マイクロソフトと協業すると発表した。自社の新たなデジタル生産システム「MO360データプラットフォーム」を投入して世界の約30工場をマイクロソフトのクラウドと接続。これまで個々の工場が持っていた情報を共有して有効活用できるようにする。サプライチェーンの支障は早期に把握できるようになることから、生産資源の効率的な配分が可能となる。2025年までに生産効率を20%引き上げることができると見込んでいる。
実際に生産を開始する前に組み立て、生産計画、工場内物流、サプライチェーン、品質管理などのリアルタイムな情報を用いてバーチャル上で無限にシミュレーションを実施。生産を最適化する。生産効率が高まることから二酸化炭素(CO2)の排出削減も実現できる。メルセデスのイェルク・ブルツァー取締役(生産・サプライチェーン管理担当)は、「生産と物流上の問題を予測して回避する能力は、電気自動車の時代に向け競争上の決定的な強みになる」と述べた。
MO360データプラットフォームはベルリンに新設された「メルセデスベンツ・デジタルファクトリー・キャンパス」のチームが開発した。同拠点はMO360の研修センターとも位置付けられている。