独化学工業会(VCI)が14日に発表した同国化学・製薬業界の7-9月期の売上高は631億ユーロとなり、営業日数・季節調整ベースで前期を1.6%下回った。売上減は2年ぶり。生産が大きく落ち込んだうえ、値上げ幅も比較的小さかったことが響いた格好だ。マルクス・シュタイレマン会長は、エネルギー価格の高騰で化学品の生産が厳しい状況に陥っていることを指摘。「特に中堅企業は電力や天然ガスの調達で契約を更新したり新たに結ぶことが難しくなっている」と述べ、エネルギー価格の抑制策を迅速かつ効率的に実施するよう政策当事者に要請した。
売り上げは国内が7.3%減となり、足を強く引っ張った。主要顧客産業の建設、製紙、食品、ガラスなどで生産が抑制されていることが背景にある。国内の新規受注は9%以上、落ち込んだ。国外売上は2.3%増えた。
7-9月期の生産高は4.2%減少。工場稼働率は前期の81.4%から79.3%へと大きく低下した。通常の水準(82~85%)を4四半期連続で割り込んでいる。
出荷価格は平均2.6%上昇したものの、上げ幅は前期の約8%を大幅に下回った。原油価格の下落を受け主要原料であるナフサが16%以上、値下がりしたことが大きい。エネルギー価格は40%以上、上昇した。コスト上昇分を川下に全額、転嫁することは難しく、利益率は押し下げられている。
VCIは景気後退懸念、高水準に達した天然ガスの備蓄率、例年に比べ高い気温などを背景にエネルギー、原料価格がピーク時に比べ低下していることを指摘しながらも、天然ガスと電力価格の抑制に向けた政策が効果的に実行されなければ、価格水準は高水準にとどまるとの見方を示した。