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2023/1/18

ドイツ経済ニュース速報

BASFがロシア絡みで純赤字に転落

化学大手の独BASFは17日、2022年12月期の純損益が13億7,600万ユーロの赤字となり、前期の黒字(55億2,300万ユーロ)から大幅に悪化する見通しを明らかにした。ロシアに資産を持つ天然ガス・石油子会社ヴィンタースハル・デーエーアーへの出資で約73億ユーロの巨額評価損を計上することが響く。アナリストは平均47億6,800万ユーロの黒字を予想していた。 ヴィンタースハルはロシアで合弁事業を展開。同国産天然ガスをバルト海経由のパイプライン「ノルドストリーム1」で輸送する合弁会社ノルドストリームAGにも資本参加している。 BASFはロシアのウクライナ侵攻を受け、保有する同子会社株で9月末までに計19億ユーロの評価損を計上してきた。最終四半期の10~12月に54億ユーロを追加計上したことから、評価損が膨らみ、22年12月期に赤字へと転落する。 BASFはその理由として、ヴィンタースハルがロシア現地資産の所有権を事実上、はく奪されたためと説明した。ヴィンタースハルは、同社出資の現地合弁会社が露国営天然ガス大手ガスプロムに販売する炭化水素の価格が、12月末にロシアで導入された新規則に基づき過去にさかのぼって引き下げられたことを明らかにしている。 22年12月期の営業利益(EBIT、特別項目を除く)は前期の77億6,800万ユーロから68億7,800万ユーロに減少するものの、事前予測レンジ(68億~72億ユーロ)の枠内に収まる。売上高(11%増の873億2,700万ユーロ)も予想レンジ(860億~890億ユーロ)をクリアする見通し。