三菱商事は8日、独エネルギー大手RWE、韓国の化学大手ロッテケミカルとアジア、欧州、米国地域で大規模かつ安定的な燃料アンモニアのサプライチェーン構築に向け戦略的アライアンスを組むことで合意したと発表した。その一環として米テキサス州コーパスクリスティ港で燃料アンモニアの製造事業に向けた共同調査を開始。アジアや欧州向けの輸出を目指し、ブルーおよびグリーンアンモニアの製造設備共有や出荷設備の建設を検討する。
同製造事業は複数の製造系列からなり、年間で最大1,000万トンの燃料アンモニアを製造する。3社は製造事業開発計画を共同策定し、2030年までに初号製造系列で製造を開始する意向だ。三菱商事は昨年、コーパスクリスティ港湾当局と同事業の検討に向けた土地の活用について合意している。
3社が組むことで日本、韓国、欧州など世界各地の市場にアクセスできる。また、各社の知見を持ち寄せた共同開発を通じて大規模な製造事業立ち上げの蓋然性が高まる。
RWEは現在、30件以上のグリーン水素案件を推進。大規模グリーン水素プロジェクトを開発する知見を持つほか、グリーン水素およびアンモニアを含む水素キャリアのグローバルかつ多角化された長期オフテイクポートフォリオの構築に取り組んでいる。独ブルンスビュッテル港には26年までに燃料アンモニアの輸入基地を建設する計画だ。
ロッテは30年までに6兆ウォン(約43億ドル)を投じて120万トンのクリーン水素を製造し、売買を通じて5兆ウォン(約36億ドル)の収益を上げることを目指している。製造、供給、販売を含む水素エネルギーのエコシステム構築に取り組む計画。
三菱商事はアンモニア分野の事業で培ってきた知見と、エネルギーサプライチェーン構築の経験を活かし、日本への燃料アンモニアの導入に向け、世界中でクリーンエネルギーの開発に取り組んでいる。