米電子部品大手ビシェイ・インターテクノロジーは20日、ドイツ北部のイツェホーで半導体工場の鍬入れ式を行った。拡大し続ける顧客ニーズに対応する考えで、既存工場の隣接地に新工場を設置する。
3億2,500万ユーロを投じて工場を建設する。2025年の完成、26年の操業開始を見込む。新規雇用は150人。
同社は26年前にイツェホー工場を立ち上げた。同工場では主に自動車向けの半導体構成部品を製造している。同部品はアジアの自社工場に輸送されてパッケージ化。世界各地の顧客に引き渡される。雇用規模は500人。
新工場ではウエハー口径が既存工場の200ミリから300ミリに拡大することから、生産量が大幅に増える。両工場の合計生産能力を現在の2倍以上に引き上げる計画だ。
欧州では電力料金が高騰している。それにもかかわらずエネルギー使用量が多い半導体工場をイツェホーに新設するのは、同地にあるフラウンホーファー・シリコン技術研究所(ISIT)と緊密に協業しているため。大都市ハンブルクに近く質の高い労働力を確保しやすいという事情も大きい。新工場に投入する社員の採用活動はすでに開始した。事前研修を行うため、早い時点で新社員を確保しておく必要がある。
欧州連合(EU)は域内での半導体生産を大幅に拡大するため、補助金を通した工場誘致を強化しているが、ビシェイは補助金の申請を行わない意向だ。独法人ビシェイ・シリコニクスのライフ・ヘニングセン社長は、当局との交渉に時間と労力を取られるうえ、受給すれば制約を受けると指摘。これらの事情を踏まえれば、補助金を受けない方が良いとの立場を示した。