ビオンテックががん治療薬の独占権を中国企業から取得

バイオ医薬品大手の独ビオンテックは3日、中国同業の映恩生物(デュアリティ・バイオ)からがん治療薬「DB-1311」と「DB-1303」の世界独占開発・生産・販売権を取得することで合意したと発表した。ビオンテックは新型コロナウイルス用ワクチンの販売で得た巨額の収入をがん治療薬開発の強化に投じており、1月には英人工知能(AI)企業インスタディープを完全買収することを発表。3月にも米同業OncoC4からがん治療薬「ONC-392」の世界独占開発・販売権を取得することを明らかにした。

映恩生物に前金1億7,000万ドルのほか、開発や上市目標の進捗状況に応じたマイルストーンを最大15億ドル以上、支払う。市場投入後は売り上げの一定比率をロイヤルティとして支払う。

DB-1311とDB-1303は抗体に抗がん剤などの薬を付加した抗体薬物複合体(ADC)というタイプの治療薬。がん細胞をピンポイントで攻撃し、正常な細胞には作用しないことから、従来の化学療法に比べ患者の負担を大幅に軽減できる。

DB-1303では現在、治験の第2段階に当たるフェーズ2を実施中。米食品医薬品局(FDA)から迅速承認手続きの適用を受けている。

ビオンテックは中国本土と香港、マカオを除く地域で両薬の独占権を取得した。DB-1311に関しては、米国で共同販売するオプション権が映恩生物に認められている。

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