VW子会社がセル工場のエネ消費大幅削減へ、ドライコーティングで

独自動車大手フォルクスワーゲン(VW)の電池子会社パワーコは16日、車載電池セル工場のエネルギー消費量を30%引き下げる計画を発表した。電極を乾燥した状態でコーティングする「ドライコーティング(乾式法)」技術を通して実現する。すでに基本技術は開発が終了しており、今後は量産用の設備を独印刷機械大手のケーニヒ・アンド・バウアーと共同開発する。

電極のコーティングではこれまで、「ウェットコーティング(湿式法)」という方式が採用されてきた。電池材料に添加物と溶剤を加えて作る粥状の物質を正極・負極に塗布。これを乾燥させたうえで、圧延加工(カレンダリング)を行う。

ドライコーティングでは粉末状の電池材料を圧延方式で電極に直接、コーティングする。このため、粥状物質の製造と、エネルギー消費量が多い乾燥工程が不要となる。省エネのほか、生産面積を15%、年生産コストを数百万ユーロ削減できる効果がある。フランク・ブローメ最高経営責任者(CEO)は、ドライコーティングはゲームチェンジャーだと強調した。

量産設備は2024年末までに開発が終了する見通しで、VWは26/27年から欧州と北米の電池セル工場に投入する計画だ。

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