量子チップ生産へ、スタートアップQ.ANTが研究機関と協業

量子技術の独スタートアップ企業Q.ANTは21日、量子プロセッサーの中核部品である量子チップをシュツットガルト・マイクロエレクトロニクス研究所(IMS CHIPS)と共同生産することで合意したと発表した。2年後に少量生産を開始する計画。将来の量産を視野に入れている。

量子コンピューターでは通常、最大マイナス273度の冷却と無振動環境の確保が必要なことから、コストがかさむ。これに対しQ.ANTは、通常のシリコンチップ上に特殊な光チャンネルを作る光チップ製造技術を開発した。常温で使用できることから、既存の大型コンピューターで最新の量子技術を用いた計算が可能になる。ニオブ酸リチウムを材料に用いる。

Q.ANTは今回の協業に量子コンピューターチップ製造のノウハウと機械、プロセス技術を持ち寄る。IMS CHIPSはクリーンルームと量産に関するノウハウを提供する。

少量生産した量子チップはQ.ANTが量子プロセッサーの開発に投入する。量産開始後は外部にも販売する意向だ。医療機器、センサー、通信、暗号、物流、金融など幅広い分野への投入を見込んでいる。

同社は工作機械・レーザー大手の独トルンプが2018年に設立したスタートアップ企業。シュツットガルトに本社を置く。

上部へスクロール