自動車部品大手の独ボッシュは13日に開催した技術イベント「ボッシュ・テックデー2023」で、水素技術事業の強化方針を明らかにした。同社は燃料電池から電解槽、エンジンまでと水素関連の幅広い分野で事業を進めている。水素経済が近い将来、本格化する見通しを踏まえ、「水素とともに成長する」(シュテファン・ハルトゥング社長)戦略だ。
2021~26年の6年間に水素技術の開発、生産に総額25億ユーロを投じる。これまでは21~24年の4年間に15億ユーロを投じるとしてきた。年当たりの投資額は3億7,500万ユーロから約4億1,700ユーロに拡大することになる。同分野の売上高を30年までに約50億ユーロに拡大することを目指している。
西南ドイツのシュツットガルト市フォイエルバッハ地区にある工場では燃料電池パワーモジュールの量産を開始した。米ニコラが第3四半期に発売する燃料電池トラックに搭載される。燃料電池パワーモジュールの生産は中国の重慶工場でも開始した。米サウスカロライナ州アンダーソン工場では燃料電池スタックを車両向けに生産する計画だ。ボッシュは6トン以上のトラックの20%が30年までに燃料電池車になると予想している。
水素エンジンの開発にも注力している。長距離走行する大型トラックに適しているうえ、コスト面でも割安なためだ。ディーゼルエンジンで培ってきたノウハウを活用できることも大きい。