ティッセンの水素製鉄プロジェクト、20億ユーロの補助金交付を欧州 委が承認

独複合企業ティッセンクルップは20日、脱炭素化に向けた鉄鋼子会社ティッセンクルップ・スチールの水素製鉄プロジェクトにドイツ政府とノルトライン・ヴェストファーレン州が補助金を交付することを欧州連合(EU)の欧州委員会が承認したと発表した。「欧州の共通利益に適合する重要プロジェクト(IPCEI)」の枠組みで合わせて約20億ユーロの支援を受ける。同国鉄鋼業界の脱炭素化に絡んではすでにザルツギターのプロジェクトがIPCEIの補助金を受けることが決まっており、ティッセンの計画は2件目。このほか、シュタールホールディングザールがザールラント州で計画するプロジェクトと、アルセロールミタルがブレーメンとアイゼンヒュッテンシュタットで計画するプロジェクトに対する公的助成が現在、欧州委の認可手続きを受けている。

ティッセンはコークスの代わりに水素を100%還元剤として用いることができる直接還元鉄(DRI)製造施設をデュースブルク工場に設置して同拠点の脱炭素化を図る「tkH2スチール」というプロジェクトを実施する。DRIの生産能力は年250万トン(銑鉄は230万トン)で、同工場の二酸化炭素(CO2)排出量は年350万トン削減される見通しだ。2026年に操業を開始する。水素の投入量を段階的に増やしていき、29年には年14万3,000トンを用いる計画。

国は補助金の70%を引き受ける。ティッセンの自己負担額は10億ユーロ弱で、プロジェクト総額の3分の1にとどまる。

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