化学業界が生産予測などを下方修正

独化学工業会(VCI)は21日、同国化学・製薬業界の2023年の生産成長率予測を引き下げた。上半期の不振と世界的な需要の低迷を受けたもの。ドイツが抱える産業上の構造問題も深刻で、マルクス・シュタイレマン会長は「産業立地ドイツへの信頼は失われた」と厳しい認識を示した。

上期の生産高は前年同期を10.5%下回った。製薬を除いたベースでは減少幅が16.5%に上る。部門別では無機化学品が26.0%、石油化学品と誘導体が21.0%、ポリマーが19.0%の幅で後退。洗剤・ボディーケア用品・化粧品とファイン・スペシャル化学品はそれぞれ12.0%減、6.0%減だった。製薬は横ばいを保った。

化学・製薬業界の売上高は1,140億ユーロで、前年同期を11.5%割り込んだ。国内が15.5%減の420億ユーロと大幅に縮小。国外(輸出高)も8.5%減の720億ユーロへと落ち込んだ。売上減などを受け、会員企業の3分の2で利益が減少するか赤字を計上したという。

VCIは厳しい状況を踏まえ、23年通期の生産高予測を従来の前年比5%減から8%減、売上高を同7%減から14%減へと引き下げた。製薬を除いたベースではそれぞれ11%減、16%減を見込んでいる。

会員企業アンケート調査では、同国のエネルギーコストが国際的にみて高いとの回答が約90%に達した。シュタイレマン氏は、電力コストがピーク時に比べ低下したとはいえ、ロシアのウクライナ侵攻前の水準を依然として上回っていると指摘。十分な量の再生可能エネルギーが供給できるようになるまでの橋渡しとして製造業が低価格の電力供給を受けられるようにする政策の実現を政府に強く促した。

厳しい規制や煩雑な行政手続きについても過去最高の80%が産業立地上のデメリットだと回答した。VCIはこれについても規制緩和や認可手続きの迅速化など改善を求めている。

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