上期粗鋼生産5%減少、電力高騰で電炉鋼は2ケタ減に

独鉄鋼業界団体シュタールが25日に発表した2023年上半期の粗鋼生産高は1,852万7,000トンとなり、前年同期を5.3%下回った。建設不況に伴う国内需要低迷のほか、電力価格の高騰が響いた格好だ。電力価格はエネルギー危機前の3倍の水準に達しており、電炉鋼は13.0%減の541万2,000トンと特に大きく落ち込んだ。高炉鋼は1.7%減の1,311万5,000トンだった。銑鉄は0.6%減の1,216万4,000トン、熱間圧延鋼材は5.7%減の1,623万トンとなっている。

6月の粗鋼生産高は、前年同月比8.4%減の292万5,000トンへと落ち込んだ。前月は15カ月ぶりに拡大へと転じたが、6月は再び縮小した。電炉鋼が20.0%減の83万9,000トンと足を強く引っ張った。高炉鋼は2.7%減の208万6,000トン。銑鉄は0.8%減の192万,000トン、熱間圧延鋼材は4.4%減の259万7,000トンだった。

電炉鋼は高炉鋼に比べ生産時の二酸化炭素(CO2)排出量が少ない。このため電力価格の高止まりが続くと、ドイツのCO2排出削減だけでなく、川下産業のカーボンフットプリント削減も滞る懸念がある。

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