カナダのリチウムイオン電池リサイクル企業ライ・サイクル(Li-Cycle)は1日、同社初の欧州拠点をドイツ東部のマグデブルクに開設したと発表した。顧客である電池、自動車メーカーのニーズに応えるため、今後も欧州の他の地域に拠点を設置する意向だ。
同社は2016年設立のスタートアップ企業で、独自の「スポーク&ハブ技術」を持つ。スポークはあらゆる種類のリチウムイオン廃電池を人手による選別、放電、解体を行わずに、自動化された工程で処理して中間生成物である黒い粉末(ブラックマス)を取り出す技術。ブラックマスに湿式製錬処理を施して電池原料のリチウム、ニッケル、コバルト、マンガンを取り出す技術をハブと呼んでいる。
マグデブルクに開設したのはスポーク拠点で、処理能力は年1万トン。同社はこれを年内に2万トンへと拡大し、将来的には3万トンに引き上げる計画だ。スポーク拠点の設置はフランスとノルウェーでも計画している。
ハブ拠点についてはスイスの大手資源商社グレンコアと共同でイタリアに建設する計画を5月に発表した。サルデーニャ島ポルトスクーゾにあるグレンコアの亜鉛、鉛精錬所を改装してハブ化する。
両社は現在、実現可能性調査を実施している。調査は24年半ばに終了の見通し。順調にいけば、26年末または27年初頭に稼働の予定だ。ブラックマスを年に5万~7万トン処理できるようにする。