ベルギッシュ・グラートバッハ経済専門大学(FHDW)付属自動車研究センター(CAM)のシュテファン・ブラッツェル所長は22日、完全電気自動車の国内保有台数を2030年までに1,500万台以上に拡大するとした政府目標は、現状では達成不可能との見解を表明した。目標を実現するたにはそれに見合った政策の変更が必要だとしている。
与党の社会民主党(SPD)、緑の党、自由民主党(FDP)は21年の政権協定で、電力のみで走行する乗用車を30年までに1,500万台以上にする目標を取り決めた。燃料電池車は電力のみで走行するものの、水素補給インフラがなく普及のめどはたっていない。このため、1,500万台は実質的には、外部からの給電で動く純粋な電気自動車(BEV)の目標数を意味する。
BEVの国内登録残数は6月末時点で120万台弱だった。また、今年上半期の新規登録台数は22万台で、12月までの通年でも45万台にとどまるとCAMは予想している。ブラッツェルは、このペースでは30年時点の保有台数が政府目標の半分の700万~800万台にとどまると指摘した。
BEV購入に対する国の補助金は今年初から最大4,500ユーロとなり、前年末までに比べ1,500ユーロ引き下げられた。9月以降はBEV新車登録の3分の2を占める社用車が補助金の支給対象から除外される。さらに来年1月からは補助金が最大3,000ユーロへと一段と減額されることから、需要の縮小が予想される。