TSMCへの独補助金に競合GFが異議

半導体受託製造世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)が欧州3社と共同で建設するドイツ工場に同国政府が巨額補助金を交付する計画に、米競合グローバルファウンドリーズ(GF)が異議を唱えていることが分かった。GFの対政府交渉・法務担当者であるサーム・アザール氏が週刊誌『シュピーゲル』に明らかにしたもので、欧州連合(EU)の欧州委員会にすでに疑義を伝えたという。

TSMCは今月上旬、欧州半導体大手インフィニオン、ボッシュ、NXPと共同で独東部のドレスデンに工場を建設する計画を発表した。出資比率はTSMCが70%で、残りは欧州3社がそれぞれ10%を予定している。欧州半導体法の枠組みで補助金の交付を受けることが正式に決まれば、投資に踏み切る。

投資額は100億ユーロ超。補助金の額は明らかにされていないものの、メディア報道によると、ドイツ政府は50億ユーロを交付するもようだ。

GFは25年前からドレスデンで半導体を製造している。アザール氏は「TSMCはわが社の10倍以上の規模を持つ企業だ。そして今、わが社の隣でわが社の製品と競合する半導体を、わが社最大の顧客3社と共同で製造しようとしている。そのために巨額の補助金を受ける意向だ」と明言。独政府がTSMCのドレスデン工場に補助金を交付することは「最も大きなトラに筋肉増強剤を与えるようなものだ」と批判した。ドイツ政府とTSMCが同計画の承認申請を欧州委に提出した時点で、GFは異議を正式に申し立てる意向だ。

アザール氏はその一方で、GFが自社のドレスデン工場を拡張する場合は補助金の交付を政府に申請する考えも明らかにした。TSMCと同等かそれ以上の助成率を期待している。

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