ドイツ連邦統計局が25日に発表した第2四半期(4~6月)の国内総生産(GDP)は物価調整後の実質に季節・営業日数を加味したベースで前期比横ばいとなり、3四半期ぶりにマイナス成長から脱した。外需は減少したものの、内需が増えて相殺された格好だ。統計局のルト・ブラント局長は「ドイツ経済は安定化してきた」と述べた。ただ、世界経済の低迷や高インフレは続いており、本格回復の見通しは立っていない。Ifo企業景況感指数は4カ月連続で悪化した。
内需は0.6%増加した。建設投資が0.2%、設備投資が0.6%の幅で拡大。ともに2四半期連続で伸びた。在庫調整は内需を0.4ポイント押し上げた。民間最終消費支出(個人消費)は横ばいにとどまったものの、3四半期ぶりにマイナス成長から脱却している。政府最終消費支出は0.1%増となり、5四半期ぶりに拡大した。
輸出は1.1%減少した。世界的な景気の低迷が反映されている。輸入は横ばいで、GDP成長率に対する外需(輸出-輸入)の寄与度はマイナス0.6ポイントとなった。
粗付加価値は0.5%減となり、2四半期ぶりに縮小した。流通・運輸・宿泊・飲食が1.4%減となり、3四半期連続で後退。金融・保険も2.1%減少し、2四半期連続で落ち込んだ。製造は0.1%増、建設は0.2%増、情報・通信は1.1%増、不動産は0.2%増だった。企業向けサービスは横ばいとなった。
ユーロ圏のGDPは0.3%伸びた。主要国ではフランスが0.5%、スペインが0.4%増加。イタリアは0.3%落ち込んだ。
ドイツ経済の低迷を欧州諸国は懸念の目で見守っている。貿易面での依存度が高いうえ、企業のバリューチェーンを通して緊密につながっているためだ。欧州経済の心臓である同国が再び「欧州の病人」となる可能性も指摘されており、「ざまあみやがれ」とほくそ笑んでいるゆとりはない。
スイスの機械・電機・金属業界団体であるスイスメンのシュテファン・ブループバッハー理事は『フランクフルター・アルゲマイネ』紙に、「ドイツで製造業の景気が弱まれば、それは必然的にスイスのテック産業の多くの企業の事業にマイナスの影響をもたらす」と明言した。イタリアの「メイド・イン・イタリア」相であるアドルフォ・ウルソ氏も先ごろ、自動車部品や機械、食品、繊維など幅広い産業がドイツと強くつながっていることを踏まえ、ドイツ経済の速やかな回復を願うと述べた。