風力の余剰電力を暖房に活用、住宅大手などがパイロットプロジェクト

独賃貸住宅最大手ヴォノヴィアは28日、風力発電で発生する余剰電力を集合住宅の暖房に活用するパイロットプロジェクトを送電大手50ヘルツ、スタートアップ企業デカーボナイズ(decarbon1ze)と共同で実施すると発表した。再生可能エネルギー電力を有効利用するとともに、暖房から排出される二酸化炭素(CO2)の量を削減することが狙い。住宅入居者のエネルギー支出削減にもつながるとしている。

風力発電では風速が速ければ発電量が増えるものの、需要を上回ると送電網への供給が停止される。供給できなかった分については送電事業者が発電パーク事業者に補償金を支給。そのコストは電力料金に上乗せされ最終消費者が負担している。発電した電力を有効活用できれば余剰電力が減り、消費者の負担を軽減できることから、国全体の経済効率が高まる。

ヴォノヴィアは2045年までに保有住宅で炭素中立を実現する目標を掲げる。その一環として、暖房のエネルギー源に風力発電の余剰電力を投入。暖房での天然ガス使用量を減らし、CO2の排出量を削減する考えだ。

パイロットプロジェクトは同社がベルリンに持つ集合住宅300棟で実施する。暖房用の蓄熱装置内に棒状の発熱体を設置。風力発電の電力で熱媒体の水を加熱する。天然ガスによる加熱は電力が足りない場合に限られることから、CO2の排出削減につながる。

デカーボナイズは建物全体の電力使用量を検針するメーターに、追加メーターと制御モジュール設置する。これにより入居各世帯の使用量を把握し、明朗な清算を行えるようにする。

上部へスクロール