軸受大手の独シェフラーは31日、バス製造の蘭VDLグループと共同で運転手が不要な無人走行電気バスを共同開発・生産すると発表した。欧州、北米と一部のアジア諸国で大都市を中心に近い将来、需要の急増が予想されることから、量産に向けて手を組む。9月上旬に独ミュンヘンで開催される自動車見本市「IAAモビリティ2023」にコンセプトカーを出展する意向だ。
「レベル4」(米自動車技術協会=SAEの定義)に対応した自動運転の超小型電気バスを開発する。大きさは全長5メートル、幅2.2メートル、高さ2.8メートルで、車重は約5トン。固定シート6席と折り畳みシート3席を備える。最高時速は70キロ。航続距離は約100キロで、1日におよそ350キロを走行できる。
シェフラーは電動パワートレイン向けシステムと部品のノウハウ、VDLは設計、電動化、コネクティビティ、自動化、サービスのノウハウをそれぞれ用いる。自動運転技術はイスラエルのモービルアイから供給を受ける。
25年からパイロットプロジェクトを開始する意向で、すでにパートナー候補の公共交通機関と協議を開始した。量産開始時期は受注状況を踏まえて決めるとしているが、30年以降は年に数千台を生産できるようにする。蘭ボルンにあるVDLのモビリティ・イノベーション・センターで製造する考えだ。
まずはドイツ市場に投入することを想定している。同国ではシャトル交通、短距離区間の乗客輸送、物流センター間の荷物輸送、交通が混雑していない時間帯における地方でのオンデマンド輸送サービスなど特定の分野で完全自動運転車(ロボットカー)の公道走行が法律で認められているためだ。