Eフューエル車の税優遇を財務相が計画、電動車と同等の扱いに

再生可能エネルギー由来のグリーン水素と発電所や工場などから排出される二酸化炭素(CO2)を合成して製造する合成燃料(Eフューエル)のみで走行する内燃機関車が電動車同様の税優遇を受けられるようにする方向で、ドイツのクリスティアン・リントナー財務相が法案の作成を進めているもようだ。『フランクフルター・アルゲマイネ(FAZ)』紙が財務省内の情報として4日付で報じたもので、今秋にも法案を提示する見通しという。

リントナー氏が所属する自由民主党=FDPは炭素中立の自動車を電気自動車に一元化することに反対している。炭素中立の車両であれば内燃機関車であっても新車登録を認めるべきとの立場で、同党のフォルカー・ヴィッシング交通相は3月、内燃機関車の新車販売を2035年までに事実上禁止するとした欧州連合(EU)の法案を阻止した。

独与党3党が、自動車燃料への課税で環境・気候への影響をこれまでよりも強く考慮する方針や、炭素中立の社用車の税優遇措置を、動力源を問わず平等にする方針を3月末に取り決めたこともあり、リントナー氏は法案の作成を進めている。具体的には、Eフューエル車の◇自動車税を免除する◇私的利用に課される所得税を電気自動車、プラグインハイブリッド車と同じ低水準にとどめる◇営業税でも税額を電気自動車、プラグインハイブリッド車と同水準にする――などを法案に盛り込むもようだ。

独自動車工業会(VDA)もEフューエル車に大きな期待をかけている。内燃機関車が全面的に禁止されると、エンジン・排気系のサプライヤーが大きな打撃を受け、雇用が大量に失われかねないためだ。

ただ、Eフューエル車は電気自動車に比べエネルギー効率が大幅に低い。水素と合成燃料の製造過程で大量のエネルギーが失われるためだ。全ドイツ自動車クラブ(ADAC)によると、出力3メガワットの風力発電機を年2,000時間、稼働させた場合、電気自動車であれば1,600台分の電力を供給できるのに対し、Eフューエル車では250台分の燃料しか供給できない。

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