独複合企業ティッセンクルップは14日、組織再編計画を発表した。炭素中立につながる事業を新設の「脱炭素技術」部門に統合することが最大の目玉。将来性の高いGX(グリーントランスフォーメーション)事業のポテンシャルを最大限に引き出していく考えだ。新年度が始まる10月1日付で新体制に移行する。
風力発電機などで用いる大型ベアリングを手がけるティッセンクルップ・ローテ・エルデ、水電解槽のティッセンクルップ・ニューセラ、アンモニアの生産・クラッキング設備を手がけるウーデ、セメント産業の脱炭素化に寄与するオキシ燃料プラントのポリシウスを脱炭素技術部門に統合する。同部門は売上高が約30億ユーロで、雇用規模はおよそ1万5,000人。独西部のドルトムントに統括拠点を置く。ティッセンクルップのミゲル・ロペス最高経営責任者(CEO)が自ら指揮をとる。
今回の組織再編に伴い、産業部品部門とマルチトラック部門(売却予定事業の受け皿)は解消されることから、同社は10月以降、脱炭素技術、自動車部品、材料取引の3部門と、分離予定の鉄鋼、マリン・システムの2事業ユニットからなる体制へと改められる。
ティッセンクルップは同日、収益力向上に向けた取り組みを強化する方針も明らかにした。ロシアのウクライナ進攻、エネルギーの供給不足懸念と価格高騰、高インフレなど事業環境が悪化したことを受けた措置。売上高営業利益率(調整済みのEBITベース)で4~6%を確保するなどとした中期目標を実現するためには新たな取り組みが必要となったことから、「APEX」という名の新規プログラムを実施する。