仏スタートアップ企業ヴェルコールは14日、事業資金20億ユーロ超を確保したと発表した。欧州連合(EU)欧州委員会の承認を経て、車載電池工場の建設に投入する計画。
同社は2020年、仏南東部のグルノーブルで設立された。同北部のダンケルク港に工場を建設し、25年7月から生産を開始することを目指している。年産能力は最大16ギガワット時(GWh)で、そのうち12GWhを仏自動車大手ルノーに供給。ルノーは傘下のスポーツ車ブランド「アルピーヌ」に搭載する。
ヴェルコールはシリーズCの資金調達で投資家から8億5,000万ユーロを確保するほか、欧州投資銀行(EIB)から融資6億ユーロ、フランスから補助金6億5,000万ユーロを受ける。
フランス北部には自動車大手ステランティス、ルノー、トヨタの工場があり、近年は欧州電動車市場の拡大を見据え電池メーカーが相次いで進出方針を表明している。米シリコンバレーに倣い「バッテリーバレー」と呼ばれる。ヴェルコールのほか、エンビジョンAESC、台湾の輝能科技(プロロジウム・テクノロジー)が電池セル工場を建設する意向だ。中国の新能源材料(XTCニュー・エナジー・マテリアルズ)と核燃料サイクルや使用済み電池リサイクル事業などを手がける仏オラノ(旧アレヴァ)はリチウム、コバルトなど電池材料の工場をダンケルクに共同建設する。