通信機器製造の独ギガセットは19日、民事再生手続きの適用をミュンスター区裁判所に申請すると発表した。下半期に売上高が大幅に落ち込み、資金繰りが悪化したことを受けた措置。経営権を温存したうえで立て直しを目指す。
同社は電機大手シーメンスの固定電話機部門を前身とする企業。2008年に独投資会社ARQUESに売却された。その後、転売を経て14年以降は香港の投資会社、高銀金融(ゴールディン・ファイナンシャル・ホールディング)が過半数株を保有している。
ギガセットは固定電話市場の縮小を受けてスマートフォン事業に参入するなど、業績拡大を目指してきたがすべて成功しなかった。1月に就任したマグヌス・エーケロート社長は、固定電話機に偏った事業構造の是正に前経営陣が成功しなかったことが経営破たんにつながったと批判。今後は安定した事業基盤を構築していく考えを示した。同社は警報装置も手がけている。
22年の業績は売上高が2億4,130万ユーロで、営業利益(EBITDA)1,790万ユーロを計上した。23年の業績予測については先ごろ下方修正。売上高と営業利益が22年実績を大幅に下回る見通しを明らかにしていた。従業員数は約850人に上る。