ハンブルクのグリーン水素プロジェクトから三菱重工が撤退

ドイツ北部のハンブルク州でグリーン水素を生産するプロジェクトから三菱重工業が撤退することが、同プロジェクトに取り組む企業連合「ハンブルク・グリーン・ハイドロジェン・ハブ(HGHH)」が20日に公表したプレスリリースで分かった。HGHHを立ち上げた4社のうち3社が撤退することになる。

三菱重工とエネルギー大手の英シェル、スウェーデンのバッテンフォール、ハンブルク熱供給公社の4社は2021年1月、HGHHプロジェクトを実施することで基本合意した。同州のモーアブルク地区にあるバッテンフォールの石炭火力発電所跡地に欧州最大級となる100メガワット(MW)規模の水電解プラントを建設することが柱。三菱重工は水素製造に関する技術・エンジニアリングなどを担う予定だった。

4社のうちバッテンフォールはすでに撤退している。同社の広報担当者は『TAZ』紙に2月、電解槽の建設と資金提供に関与するかどうかは当初から未定だったとしたうえで、戦略パートナーとしては関与を続ける意向を表明した。

シェルも以前から撤退の意向を示していた。同社は『ハンデルスブラット』紙の問い合わせに、他の水素プロジェクトと比較したうえでHGHHからの撤退を決めたことを明らかにした。同プロジェクトの経済性が低いと判断したもようだ。

当初の計画では2025年の水素製造プラント完成と運転開始を見込んでいた。今回の発表では26年にずれ込む見通しを明らかにしている。

HGHHは今後、ハンブルク熱供給公社と、再生可能エネルギー専門の地元投資会社ルクスカラ(Luxcara)の合弁会社となる。ルクスカラは三菱重工とシェルから同コンソーシアムの株式を取得。74.9%の資本を握ることになる。取引の成立には当局の承認が必要。

HGHHプロジェクトの投資額は約7億ユーロで、そのうち1億5,000万ユーロ強を欧州連合(EU)の「欧州の共通利益に適合する重要プロジェクト(IPCEI)」の枠組みで国と州が支援する予定。欧州委員会の承認が得られれば補助金が交付される。

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