電力と天然ガスの上半期の価格が前期(2022年下半期)に比べともに2ケタ台の伸び率を記録したことが、ドイツ連邦統計局の29日の発表で分かった。卸売価格の下落を受け非家庭向けは下がっている。家庭向けは契約期間が非家庭向けに比べ長いことから、卸売価格低下の効果が波及するのに時間がかかるという事情が背景にある。
家庭向け電力価格は1キロワット時(kWh)当たり平均42.29セントとなり、前期を21.0%上回った。天然ガスも31.3%上昇し、1KWh当たり12.26セントとなった。高騰した電力・ガス料金の負担を軽減するために国が導入した「価格ブレーキ」政策を加味した数値であり、同政策がなければ価格はさらに上昇していた。
価格の内訳をみると、天然ガスではエネルギー・販売費が30.3%増の7.74セント、輸送料金が38.7%増の1.90セント、税・賦課・分担金が28.6%増の2.61セントとすべて大きく上昇した。
一方、電力ではエネルギー・販売費(33.6%増の21.04セント)が価格を大きく押し上げた。送電料金と税・賦課・分担金の変動率は示されていない。額はそれぞれ9.61セント、11.63セントとなっている。
非家庭向けの電力価格(付加価値税など控除可能な税を除く)は1kWh当たり平均20.71セントで、前期を0.1%下回った。消費量が多い需要家で価格が下落。消費量が年15万メガワット時(MWh)以上の層では23.2%減の15.89セントに下がった。同20MWh未満の層では20.2%増の32.47セントと大きく上昇している。
非家庭向けの天然ガス価格(付加価値税など控除可能な税を除く)は1kWh当たり平均7.69セントで、前期を4.6%下回った。ここでも使用量の多い需要家で価格が低下したのに対し、少ない需要家では上昇。年消費量400万ギガジュール(GJ)以上の層は50.1%減の7.69セント、1,000GJ未満の層は47.3%増の10.84セントだった。使用量が多い需要家では比較対象の22年下半期の上げ幅が大きかったことから、今年上半期はその反動で大幅に低下した。
上半期の電力・ガス料金は前年同期(22年上半期)比ではすべて上昇した。電力の上げ幅は家庭向けで26.2%、非家庭向けで4.4%となっている。天然ガスはそれぞれ52.5%、19.6%だった。