中国とドイツのハイレベル金融対話が1日、フランクフルトで開催された。前回はコロナ禍前の2019年1月に行われており、およそ4年9カ月ぶりの実施となったものの、目玉となるような合意はなかった。独財務省は共同声明を公表しただけで、独自のプレスリリースを出していない。中国の強権化やロシアのウクライナ進攻をきっかけに一段と冷え込んでいる両国関係を悪化させない姿勢を示したことが最大の成果とみえる。
中独金融対話は2015年に初めて開催された。今回は3回目で、ドイツからはクリスティアン・リントナー財務相、中国からは経済政策を担当する何立峰副首相が出席した。リントナー氏は「毎年開催に頻度を引き上げる」ことは考えられると述べ、中国側も前向きに検討すると応じた。
共同声明には、公平な立場での相互市場開放、保護主義との戦い、ルールに基づく非差別的で透明な多国間貿易制度の支持などで両国が合意したことが盛り込まれた。何氏は、国外の金融機関が中国市場にこれまでよりもアクセスしやすくすることを検討すると発言。外資が同市場で発行する人民元建ての債券である「パンダ債」のハードルを引き下げることを示唆した。
中・低所得国の債務再編に主要債権国である中国が積極的に取り組むことを西側諸国が求めていることに絡んでは、この問題に有効かつ包括・系統的に取り組むことが重要であるとの認識で両国が一致したとの一文が記されたものの、踏み込んだ表現はなされていない。