ドイツ初の食品ドローン輸送開始、商業化には技術と規制の壁越えが必要

ドローンを用いて過疎地に食料品を輸送するプロジェクトが西南ドイツのミヒェルシュタット市で5日、始まった。食品のドローン配達は同国初。途上国などと異なり、ドローン規制が厳しいことから、商業ベースに乗せるには技術のさらなる進展と規制緩和が必要だ。

配達ドローン開発・製造の独ウイングコプターとフランクフルト応用科学大学(UAS)、スーパー大手レーベが「リーファーミヒェル」という名のプロジェクトを開始した。人口密度の高い市中心部のシュタインバッハ地区から過疎地である北西部のレーバッハ地区と南東部のヴュルツベルク地区にドローンで食品を輸送する。食品はまず、レーベの店舗から2キロ離れたシュタインバッハ地区の臨時離発着場に車で運搬。ドローンに積み替えて空輸する。

ただ、顧客宅にドローンで荷物を直接届けることは法律上できないことから、レーバッハとヴュルツベルクの畑内に設置した専用区画に着陸。そこからはカーゴバイク(運搬用自転車)に積み替え、顧客宅まで人力で輸送する。

プロジェクトはUASのカイオリファー・ショッケ学長が立案した。寡婦となった自らの母親から、自動車を運転できないため買い物に不自由していると伝えられたことがきっかけとなった。過疎地には同じ境遇の高齢者などが多く、社会的な課題と判断した。

ミヒェルシュタットがあるオーデンヴァルトは山地で交通の便が悪い。迅速に配達するためには車よりもドローンの方が適している。

プロジェクトは連邦交通省から43万ユーロの補助金を受けて年末まで実施する。補助金がなければ採算が合わないため、年明け以降も継続するかどうかは未定だ。ウイングコプターのトム・プリュマー社長は、配達先の住宅までドローンで直接、輸送できるようになれば商業化できると指摘。そのためには規制緩和が可能になる水準まで技術を進歩させる必要があるとの認識を示した。

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