既存ガスタービンでのグリーン水素を専焼、シーメンス・エナジーなどが成功

エネルギー設備大手の独シーメンス・エナジーは13日、同社を中心とするコンソーシアムが既存のカスタービンを用いたグリーン水素の専焼試験に成功したと発表した。同社によると、グリーン水素を100%使用してガスタービンを稼働させたのは世界で初めて。既存のガスタービンをグリーン水素での運転向けに改造できることが明らかになったとして、将来の商業化に意欲を示している。

シーメンス・エナジーは仏エネルギー大手エンジー、英エンジニアリング大手セントラックス、ドイツ航空宇宙センター(DLR)などと共同で「ハイフレックスパワー」というプロジェクトを行っている。仏南部サイヤ・シュル・ヴィエンヌにある紙製包装材大手スマーフィット・カッパの工場敷地内にグリーン水素の製造、貯蔵設備を設置。シーメンス・エナジー製の産業用ガスタービン「SGT-400」を用いて試験を行っている。水素を製造する電解槽もシーメンス・エナジーの1メガワット(MW)級製品を使用する。水素は容量1トンのタンクに貯蔵される。

2022年に実施した最初の試験では水素と天然ガスを混焼した。水素の割合は30%だった。今回は水素を100%用いて燃焼させた。「最新のドライ・ロー・エミッション(DLE)技術を持つタービンは水素を最大100%用いて運転することも、天然ガスと水素を様々な比率で混合して運転することも可能である」ことが証明されたとしている。

シーメンス・エナジーのカリム・アミン取締役は「ハイフレックスパワー・プロジェクトで得られた知見と経験はわが社の全ガスタービン・フリートを水素ベースの未来に向けて発展させることに役立つ」と述べたうえで、「今後はこの成果をスケール化することが重要だ」と強調した。

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