粗鋼生産が4カ月ぶり増加、電炉鋼は低迷続く

独鉄鋼業界団体シュタールが19日に発表した9月の粗鋼生産高は、前年同月比2.1%増の290万2,000トンに拡大した。増加は4カ月ぶり。高炉鋼が6.8%増の211万1,000トンとなり、全体を押し上げた。電炉鋼は電力価格の高止まりを受け8.6%減の79万1,000トンとこれまでに引き続き振るわなかった。銑鉄は1.5%増の192万1,000トン、熱間圧延鋼材は8.9%減の235万8,000トンだった。

1~9月の粗鋼生産高は2,723万1,000トンで、前年同期を3.6%下回った。高炉鋼は0.1%増の1,962万7,000トンとわずかに拡大したものの、電炉鋼が12.0%減の760万4,000トンと足を強く引っ張った。銑鉄は0.1%増の1,808万3,000トン、熱間圧延鋼材は5.0%減の2,355万2,000トンだった。

一方、世界鉄鋼協会(ワールドスチール)は17日、2023年の世界市場規模が数量ベースで18億1,450万トンとなり、前年比で1.8%増加する見通しを発表した。ただ、欧州連合(EU)は5.1%減、ドイツは10%減と振るわない。同国は前年も9%落ち込んでおり状況は特に厳しい。シュタールのケルスティンマリア・リッペル専務理事は、エネルギー価格の高騰が最大のマイナス要因だと指摘したうえで、「鉄鋼生産にとってただでさえ厳しいドイツの立地条件はさらに悪化している」と危機感を表明した。

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