独国有のドイツ鉄道(DB)は19日、欧州諸国で交通事業を展開する英子会社アリーバをインフラ分野に特化した米投資会社アイスクエアドキャピタルに完全売却することで合意したと発表した。経営資源を国内の鉄道事業に絞り込む戦略に基づく措置。取引価格は明らかにしていない。メディア報道によると、約16億ユーロに上るもようだ。監査役会と独交通省の承認を経て売却手続きが2024年に完了すると見込んでいる。
アリーバは欧州11カ国で鉄道・バス事業を展開する大手企業。従業員数は3万5,500人で、乗客数は年15億人に上る。DBは同社を2010年、債務も含めて27億ユーロで取得した。
DBは当時、交通・物流分野でグローバルプレイヤーになることを目指しており、02年には国際物流大手の独シュティンネスも買収し、その主力ブランドであるシェンカーを手に入れた。現在はグローバル化方針を撤回しており、シェンカーについても買収の準備を進めている。売却には巨額債務を圧縮する狙いもある。