通勤快速鉄道網「地域快速輸送システム(RRTS)」の開通式典がインドの首都デリーで20日、行われた。RRTSはドイツ鉄道(DB)の国際事業子会社DBインターナショナル・オペレーションズ(DB IO)が運行を担当する鉄道網。大都市と近郊地域を結ぶインド初の快速鉄道で、自動車から鉄道に通勤の足を切り替える人が増え、渋滞緩和や大気汚染の改善につながると期待されている。式典にはモーディー首相が出席した。
RRTSはデリーと近郊のガーズィヤーバード、メーラートを結ぶ総延長82キロメートルの鉄道網。1日当たり乗客80万人を輸送できる。列車の最高速度はインドの鉄道で最大の時速160キロに上る。2025年の全線開通を予定しており、今回はデリー~デュアイ間の17キロで運転を開始した。
DBIOは昨年7月、RRTSの運営とメンテナンスを国家首都地域輸送公社(NCRTC)から受注した。契約期間は12年。運転手など人員の教育も行っている。DBIOのニコ・ヴァルバノフ最高経営責任者(CEO)は『フランクフルター・アルゲマイネ』紙に、現地スタッフはモチベーションが高いうえ、その多くがドイツでの就労に関心を示していると指摘。これらの人材を活用すればDBの専門人材不足を緩和できると語った。
DBIOは旧ドイツ連邦鉄道とドイツ銀行の合弁会社として1966年に設立された「ドイツ鉄道コンサルティング」を出自とする企業で、08年にDBの完全子会社となった。国外で鉄道の敷設計画作成や敷設、コンサルティング、運営サービスを手がけている。RRTSは同社が運営を担当する2件目の案件。昨年には高速鉄道に対応したエジプト初の長距離電化路線網(総延長2,000キロ)の運営とメンテナンスを同国政府から受注した。DBは国内事業に経営資源を絞り込む方針を打ち出しているが、DBIOを売却する計画は今のところない。