メルクが炭素中立に向けバーチャルPPAを活用

製薬・化学大手の独メルクは2日、再生可能エネルギー事業者マトリックス・リニューアブルズ、レナンティスの2社とバーチャル電力購入契約(VPPA)をそれぞれ締結したと発表した。2040年までの炭素中立実現に向けた取り組みの一環。欧州連合(EU)とスイスで調達する全電力を25年から非化石証書でカバーする。

VPPAは需要家が発電事業者から電力を直接購入する電力購入契約(PPA)から派生したもの。再生可能エネルギー発電で作られた電力の環境価値だけを購入し、電力そのものは購入(使用)しない。購入した環境価値に再生エネ発電の裏付けがあることを証明するため、第三者が非化石証書を発行する。

マトリックス・リニューアブルズおよびレナンティスとは両社がスペインで手がける再生エネファーム計5カ所を裏付けとしてVPPAを締結した。期間は10年。年間発電量は300ギガワット時(GWh)で、太陽光発電が200GWh、風力発電が100GWhを占める。非化石証書は欧州エネルギー認証システム(EECS)を運営する「発行機関連盟(AIB)」が発行する。

メルクは全世界で購入する電力の80%を30年までに再生エネでカバーする目標を掲げる。北米ではVPPAを通して24年から同90%を実現する。今回の契約により、25年からは世界全体で約70%を達成する見通しだ。

上部へスクロール