新型コロナウイルスの世界的大流行(パンデミック)対策として設定された起債枠をGX(グリーントランスフォーメーション)基金向けに転用した独政府・与党の措置は基本法(憲法)の新規債務抑制ルール(シュルデンブレムゼ)を不当に回避するものだとして野党キリスト教民主・社会同盟(CDU/CSU)が提訴していた係争で、連邦憲法裁判所は15日、この訴えを認める判決を下した。裁判官は600億ユーロに上る同転用に違憲判決を下しており、政府のGX計画は見直しが避けられない状況だ。リントナー財務相は代替案があるとしているが、詳細を明らかにしていない。
連邦議会(下院)は前政権時の2021年の補正予算でコロナ禍対策として600億ユーロの起債枠を設定したが、同枠はまったく使われなかった。現政府はこれを「気候・トランスフォーメーション基金(KTF)」の資金に転用することを計画。与党の賛成多数で当該法案を議会で成立させたことから、CDU/CSUが連邦憲法裁に提訴していた。
政府は裁判で、コロナ禍向けの起債枠転用はコロナ禍で悪化した経済の再活性化につながるとして、違憲性はないと主張したが、認められなかった。