水素輸送網の建設資金を国が貸与、来年にも工事開始

水素インフラの構築に向けてドイツが一歩、前進した。政府は15日の閣議で、中核輸送網構築の資金計画を定めたエネルギー経済法改正案を了承。天然ガスパイプライン運営事業者の独業界団体FNBガスも同日、中核輸送網の計画原案を連邦ネットワーク庁に提出した。FNBガスのトーマツ・ゲスマン会長は「工事は来年、始まらなければならない」と述べるとともに、パイプラインでの水素輸送が2025年に始まるとの見通しを示した。

中核輸送網は全国の港湾、主要産業地域、貯蔵施設、発電所などを結ぶ主要なパイプライン網で、ドイツを東西南北に走る。「水素アウトバーン」とも呼ばれる。連邦ネットワーク庁に今回提出された計画は32年までに水素輸送を開始するパイプラインが対象で、総延長は9,700キロメートルに上る。新設するのはそのうち40%で、残り60%は天然ガスパイプラインの転用で確保する。既存インフラを活用することでコストを圧縮する狙いだ。

投資額は198億ユーロを見込んでいる。額が大きいことから、国は必要な資金を貸与し、需要家が支払う輸送料金を通して回収する。同料金は額が統一されるとともに、上限が設定される。投資資金を55年までに回収できないない場合は国とパイプライン運営事業者が損失を負担することになる。運営事業者の負担率は24%。

FNBガスが提出した中核輸送網計画原案は今後、公聴手続きを経て来年第1四半期に最終案へとまとめ上げられる。これを連邦ネットワーク庁が承認すれば発効。建設が開始される。

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