VWが中国で現地開発・調達を強化

自動車大手の独フォルクスワーゲン(VW)は中国市場向けモデルを現地で開発するとともに、地場系サプライヤーからの調達を強化する意向だ。開発の短期化・低コスト化と車両の低価格化を通して競争力を強化する狙い。地政学リスクに対応する狙いもある。ラルフ・ブラントシュテッター取締役(中国事業担当)などが24日、合肥市に新設した電気自動車開発センターの見学イベントで明らかにした。

同社はこれまで、中国市場向けのプラットフォームをドイツで開発してきた。このため同市場特有のニーズに適切に対応できなかったうえ、時間とコストもかさんでいた。今後は合肥の新センターで開発することで開発期間を30%短縮する。

部品の調達ではこれまで、中国以外の国際的なサプライヤーに強く依存してきた。だが、近年はVWが求める品質と安定供給に対応できる地場サプライヤーが増加している。地場系は価格競争力も高く、例えばディスプレーを3分の1以上安く調達できるという。同社はこうした事情を踏まえ、現地調達を強化していく。

中国市場では電気自動車(BEV)の需要が急速に拡大するとともに、熾烈な価格競争が繰り広げられている。VWは昨年、長年保ってきた市場トップの地位を現地の電動車メーカー比亜迪(BYD)に奪われた。VWのBEVは割高なうえ、消費者のニーズに見合っていないという事情が背景にある。

合肥の新センターではこの事情を踏まえて開発を行い、2026年から新プラットフォームのBEVを市場投入する。価格は1万8,000~2万2,000ユーロと低く設定する意向だ。

ブラントシュテッター氏は、政治的な制裁が中国事業を展開する国際企業の大きな問題となっていることも指摘した。そのうえで、「わが社は自律した統制可能なバリューチェーンの構築を目指している」と明言。中国市場向け車両の部品を現地サプライヤーから調達することはリスク低減につながるとの認識を示唆した。

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