タイヤ大手の仏ミシュランは28日、ドイツでの商用車用タイヤ生産をすべて停止すると発表した。アジア製低価格帯製品の流入を受けてハイエンド製品の需要が減少しているうえ、エネルギー価格の高騰で採算が取れなくなっていることを受けた措置。他のタイヤメーカーも独工場の整理を進めており、ミシュランも追従した格好だ。
カールスルーエの完成品工場とトリーアの半製品工場を閉鎖するほか、ザールラント州ホームブルク工場での商用車タイヤ生産を半製品も含めて停止する。国外への生産移管を段階的に進め、2025年末までに閉鎖ないし生産停止を行う。また、カールスルーエにあるドイツ、オーストリア、スイス市場向けの顧客センターを閉鎖し、業務をポーランドに移管する。合わせて1,532人の従業員が影響を受ける。
ドイツ事業を統括するマリア・レットガー氏が『フランクフルター・アルゲマイネ』紙に述べたところによると、熾烈な競争にさらされる中小の運送会社を中心に低価格タイヤの需要が伸びている。タイヤ市場規模(数量ベース)が過去10年間、横ばいにとどまっているにもかかわらず、低価格製品部門は220%も増えた。産業用電力価格は15年に比べ2倍以上に膨らんでいる。
タイヤ業界ではドイツでの生産を縮小する動きが続いている。米グッドイヤーは今月中旬、フルダとフュルステンヴァルデにある工場の閉鎖計画を発表。独コンチネンタルはアーヘン工場を昨年末で閉めた。ミシュランが独商用車タイヤ生産事業から撤退すると、同国で商用車タイヤを生産するのはグッドイヤーのヴィットリヒ工場だけとなる。