デパート大手ガレリアを親会社が売却の可能性

独デパート大手ガレリア・カールシュタット・カウフホーフが投資家に売却される可能性が出てきた。同社を傘下に持つオーストリア企業シグナ・ホールディングが自らの経営再建に向け民事再生手続きの適用をウィーンの裁判所に申請したためだ。

シグナは事業家のレネ・ベンコ氏が築き上げた投資会社。不動産と小売を事業の主な柱としている。飛ぶ鳥を落とす勢いで成長してきたものの、コロナ禍とウクライナ戦争の勃発後は事業環境が急速に悪化している。

小売事業はコロナ禍で実店舗の利用者が減ったところにインフレによる消費低迷が追い打ち。不動産事業も在宅勤務の増加に伴うオフィス需要の縮小、建設コストの膨張と金利急上昇の直撃を受けている。独北部のハンブルクで進めてきた高層ビル「エルプタワー」の建設など多くのプロジェクトが資金繰りの悪化で停止状態にある。

シグナはこうした状況を受け29日、民事再生を申請した。同社は声明で、小売事業は期待していた成果を上げることができなかったと指摘。同分野の子会社リテール・セレクションを清算する方針を表明した。ガレリアは同子会社に属することから、売りに出されるとみられている。

シグナの民事再生申請を受け、スポーツ用品販売チェーンを展開する独子会社スポーツシェックは30日、ミュンヘン区裁判所に会社更生手続きの適用を申請した。契約で定められたシグナからの入金が不履行となることを受けた措置。会社更生手続きを通して新たな出資者を模索する。

スポーツシェックは1946年の創業。ドイツ国内で34店舗とネット通販を展開している。2020年にシグナの傘下に入った。営業はこれまで通り続ける。

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