コンチネンタルが組織再編、ディスプレー事業などを分離

自動車部品大手の独コンチネンタルは4日の投資家説明会で、収益力強化に向けた戦略を明らかにした。同社は自動運転や車両ネットワーキングを手がけるオートモティブ部門が業績の大きな足かせとなっており、株主の間に不満が蓄積。抜本的な経営の見直しが必要となっている。

オートモティブ部門ではディスプレーやヒューマン・マシン・インタフェース(HMI)を手がけるユーザーエクスペリエンス事業を組織的に分離することを決めた。またこれとは別に、売上規模で計14億ユーロに上る事業についても何等か措置を検討する。さらに、組織のスリム化、研究開発費の抑制を通して同部門のコストを2025年までに4億ユーロ圧縮する意向だ。研究開発費については世界に82カ所ある拠点の集約などを通して、対売上比率を中期的に23年の約12%(見通し)から10%未満に引き下げる。

好調なタイヤ部門についてはデータに基づくサービスや電動車向け製品など将来性の高い事業を一段と強化していく。

タイヤ以外のゴム製品事業を手がけるコンチテック部門では売り上げに占める産業向け事業の割合を中期的に現在の55%から60%に拡大。その後はさらに80%へと引き上げていく。自動車部品を製造するOESL(相手先商標製品ソリューション)事業に関しては2年以内に完全分離する意向を8月に表明済み。戦略投資家の受け入れ、合弁化、売却などを視野に入れている。

コンチネンタルは将来性の高い分野に経営資源を絞り込むことで、売上高を23年の410億〜430億ユーロ(見通し)から2〜3年後に440億〜480億ユーロへと拡大。3〜5年後には510億〜560億ユーロを達成する。売上高営業利益率(EBITベース)についても今後2〜3年で8〜11%を確保できるようにする。

組織再編を巡ってはオートモティブ部門を分離し、経営資源をタイヤ、コンチテックに絞り込むことを求める声がある。メディア報道によると、筆頭株主である軸受大手のシェフラーとヴォルフガング・ライツレ監査役会長はこのオプションが好ましいと考えているものの、ニコライ・ゼッツァー社長は景気低迷、高インフレ、地政学リスクの高まりを踏まえ、同オプションには予測不能なリスクがあると判断。改革を小規模なものにとどめる姿勢を示している。

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