製薬大手ロシュが米社買収、肥満薬事業に再参入

スイス製薬大手ロシュは4日、米同業カーモット・セラピューティクスを買収することで合意したと発表した。カーモット・セラピューティクスは2型糖尿病と肥満症の治療薬を開発する企業。ロシュは同事業分野から一度、撤退したが、市場が急拡大していることから再参入する。来年第1四半期の買収手続き完了を見込んでいる。

カーモットは血糖値を下げる働きのあるGLP-1受容体作動薬というタイプの医薬品を開発している。同薬はインスリンの分泌を促し、血糖値の上昇と食欲を抑制することから2型糖尿病のほか、肥満症にも効果がある。カーモットのパイプラインの中で開発が最も進展しているのは「CT-388」という製品で、現在、第2相臨床試験が行われている。

ロシュは同社を最大31億ドルで買収する。まずは27億ドルを支払い、事業目標の進捗度に応じてマイルストーンを最大4億ドル上乗せする。

製薬業界では米イーライリリー、デンマークのノボ・ノルディスクが同分野で有力な製品を生産・販売している。需要が大きいうえ、将来性も高いことから、両社とも生産能力を積極的に拡大している。

ロシュは2018年、GLP-1受容体作動薬事業をイーライリリーに売却し、撤退した経緯がある。

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