電話診察だけでゲルベシャイン発行、恒常ルールとして再導入

公的医療保険の最高意思決定機関である連邦共同委員会(G-BA)は7日、電話診察だけで医師が労働不能証明書(AU、通称ゲルベシャイン)を発行できるルールを同日付で導入することを決定した。今夏に成立した医薬品供給ひっ迫解消法(ALBVVG)に基づく措置。医療機関の負担を軽減するとともに、インフルエンザなどの感染拡大を防止する狙いがある。カール・ラウターバッハ保健相は「今のような感染症の流行期にまさしく重要なことだ」と述べ、G-BAの決定に歓迎の意を示した。

ドイツでは新型コロナウイルスの感染が深刻化した2020年、風邪など軽度の呼吸器系疾患の場合は医師が電話診察だけでAUを発行できる臨時ルールが導入されたが、パンデミック(世界的な大流行)が終了したことから、今年4月に失効。被用者などがAUを得るためには再び通院が必要になっていた。

ALBVVGには、このルールを恒常的なルールとして復活させることの検討を、医師、医療機関、公的健康保険の代表で構成されるG-BAに委託する規定が盛り込まれていた。

同委はこれを受けて、今回の決定を下した。症状が軽ければ、医師はAUを電話診察だけで発行できる。発行するかどうかの決定権は医師が持っており、患者には請求権がない。症状が重い場合は電話だけでは発行されず、通院を求められる。

電話診察によるAUの有効期間は最大5日。延長する場合は通院が必要となる。AUの初回発行時に通院した患者の場合は電話診察による延長が可能。

かかりつけの病院以外では電話診察でAUを取得することができない。このため医師会は制度濫用のリスクは小さいとしているが、経済団体からは懸念が出ている。独雇用者団体連合会(BDA)のシュテッフェン・カムペーター専務理事は、AUの信頼性が低下すると批判した。病休が6週間以内であれば雇用主に給与を引き続き支給する義務があることが背景にある。

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