ドイツ連邦経済・気候省は16日、電気自動車(BEV)購入補助金の受給申請を翌17日いっぱいで打ち切ると発表した。これまでは来年末の終了を予定していたが、政府・与党は財政計画に対する連邦憲法裁判所の11月の違憲判決を受けて、大幅な歳出削減で合意。そのしわ寄せでBEV補助金の終了時期が1年以上、前倒しされた。
同補助金は国の「気候・トランスフォーメーション基金(KTF)」から支給されてきた。KTFの財源のうち、コロナ禍対策起債枠からの転用分600億ユーロが違憲とされたことから、政府はBEV補助金の廃止時期を前倒しした。この方針についてはハーベック経済・気候相が13日の記者会見で明らかにしていたが、具体的な時期は伏せていた。また、経済紙『ハンデルスブラット(HB)』はKTFに関する政府文書を基づく15日付の記事で、打ち切りの時期を今年末と報じていた。
だが、補助金を予告の翌日に打ち切るという今回の措置は想定外で、大きな混乱を引き起こしている。補助金受給を前提にBEVの購入契約を結んだ消費者の費用負担が大幅に膨らむためだ。
同補助金の支給額は今年、4万ユーロ以下の車両で4,500ユーロ、5万~6万5,000ユーロの車両で3,000ユーロとなっていた。また、来年1月からは対象が4万5,000ユーロ以下の車両に制限され、支給額も3,000ユーロに引き下げられるものの、助成は続くはずだった。メーカー提供の助成も含めると、支援総額は今年が最大6,750ユーロ、来年が4,500ユーロとなっていた。
国の補助金を申請するためには、車両の新車登録手続きが完了していなければならない。このため、購入契約は締結したものの17日までに新車登録を行えなかった人は受給することができなくなった。
欧米自動車大手のステランティスはこの問題を踏まえ18日、すでに契約を結んだ顧客に対し国の補助金を肩代わりすると発表した。新車登録を年内に完了する顧客には最大6,750ユーロ、来年2月末までに完了する顧客には同4,500ユーロの助成を行う。
トヨタ自動車も18日夕、同様の措置を取ると発表した。