ライフサイエンス大手バイエルやエネルギー大手のエーオンなど4社は8日、独西部ルール工業地域のベルクカーメンに水素クラスターを構築することで基本合意したと発表した。バイエルのベルクカーメン工場団地など同地の生産施設にグリーン水素を供給し、メーカーのGX(グリーントランスフォーメーション)を支援する。6月末まで実現可能性調査を行ったうえで、その後の方針を決める。
エーオンは再生可能エネルギー電力をベースとするグリーンアンモニアの調達・輸送、およびグリーン水素の販売を引き受ける。エーオンが調達したアンモニアはサービス・設備運営事業者のイコニー(Iqony)が貯蔵するとともに、クラッキングして水素を分離。イコニーはベルクカーメン工場団地に水素を輸送するパイプラインの建設も行う。パイプライン建設の実現可能性については、エーオン傘下のヴェストエネルギーが技術的・法的な側面から検討を行う。
炭素中立を実現するためにはエネルギーの大半を再生エネ電力でカバーする必要がある。ただ、化学生産プロセスなどで必要な熱は電力で置き替えることができないため、企業は水素を活用することになる。エネルギー集約産業が盛んなルール工業地域では大きな需要が見込まれる。