ライフサイエンス大手の独バイエルは17日、組織をスリム化することで従業員代表と合意したと発表した。大規模な人員削減が行われることになるが、経営環境が厳しいことから従業員サイドは理解を示した。
同社は米種子・農薬大手モンサントを2018年に買収して以降、業績が悪化している。モンサントの農薬「グリホサート」の発がん性をめぐる巨額訴訟が大きな足かせとなっているためだ。最近は特許薬部門も新薬開発の失敗でパイプラインが細り、将来の業績悪化が懸念されている。株主の間には、バイエルの株価が1株当たり純資産の何倍の水準かを示す株価純資産倍率(PBR)の低迷を解消するために特許薬、一般医薬品、種子・農薬の3部門からなる同社を分割するよう求める声がある。経営陣はこうした事情を受け昨年11月、組織再編を通して技術革新力と経済性の高い組織へと改める方針を打ち出していた。
従業員代表との今回の合意はこれを受けたもの。管理職の階層を削減して各現場の決定権を強化し、速やかに意思決定できるようにする。これに伴いドイツを中心に従業員を大幅に削減する。今後数カ月以内に人員整理を開始し、25年末までに完了する意向だ。具体的な人数は明らかにされていない。対象となる従業員には転職支援を行う。経営上の理由による整理解雇は可能な限り回避する。
3部門体制を改めるかどうかについては現時点で決定を下していない。